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処女作

 投稿者:氷姫妃メール  投稿日:2009年 5月30日(土)11時12分36秒
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  処女作
                 氷姫妃

闇の中で桜が止まっている、ただ存るだけで美しかったが、誰の目にも写らなかった。その桜は毎年同じ日に純白の花を咲かせ同時に孤独も背負っていた。世界は小さな動物や虫、草や木しかいないと思っていた。ある日人が来た、生きていくのが辛くて死ぬ為に彷徨って、来たことのない場所にたどり着いた。人は最初桜を桜と思わなかった。見たことがある桜は全て桜色だったからだ。こんな純白、としか表現できない花の色は見たことがなかった。一方、桜もこの人と呼ばれる訪問者を初めて目の当たりにして感慨深げな、それでいて無関心を装うような感じだった。
サワサワ
あたりには葉擦れの音が木霊している。桜は崖の上にあってこれ以上奥に進む事はできそうにない。
「あぁ・・・。」
サワサワ
人はこの後どうするか考えたが何も思いつかなかった。何故か死ぬという目的を忘れていた。とりあえず桜の木の下で休むことにした。
サワサワ
そうしていると上から純白の花弁が降ってきてその木は何なのか気になりだしてきた。上を見上げてみた、やはり純白だ。辺りが暗く、桜の幹が黒々と見えて純白さが際立っていた。人は幹に手を触れてみた、ゴツゴツとしていて硬かったが活きている者特有の優しさも伝わってきた。桜はくすぐったくて可笑しくなってきた。
サワサワ
人は落ちてきた純白を一枚拾い上げてみた。何故か形を覚えている、桜の花弁だ、こんなに綺麗な桜は初めてみた。
やがて人は嗚咽を漏らすとそのまま泣き出した。恥も外聞もなく醜く泣いている。涙が滴り根に落ちるたびに桜は悲しくなった。人は泣き止んだが桜には欠片が残った。
サワさワ
赤くなった目で人は桜を見上げた。桜も人を見ている。
サワさワ
サワサワ
サわサワ
ザワサワ

さわさワ
さわザわ


ざぁ・・!

さわさわ

人はいきなり崖に走りそのまま飛び降りた。


しばらくするとその場には風と揺れる花の音だけになった・・・・・・・・・・・・・


そして


桜に欠片がまた残った。

次の年から桜は毎年紅い花を咲かせるようになった。

サワサワ
サワサワ
さわさわ

サワサワ
サワサワ
サワサわ
サワさわ

さわさわさわさわサワサワさわさわさわ
さわサワサワサワサワサワサワsawasawa31013101さわさわ・・・




クスクス・・・。


三年後


おとうさん、どうしてサクラはあんなにコワイの?
何言ってるんだ、サクラは綺麗じゃないか、我が子ながら変なことを言うなぁ。
クスクス・・・・・・・。





ざぁぁぁ・・・・・・・・・・。
 
 
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